【11月23日 AFP】アイスランドにある妊娠中の馬の採血がされる「血液牧場」で、馬が虐待されている動画が動物愛護団体により公開され、調査が開始された。

 妊娠中の馬の採血はアイスランドの他、アルゼンチンとウルグアイでのみ合法とされている。血液に含まれる妊馬血清性性腺刺激ホルモン(PMSG)は、牛や羊、ヤギ、豚の生殖機能を高めるために使われる。

 動物福祉財団(AWF)とチューリヒ動物保護連盟(Tierschutzbund Zurich)がユーチューブ(Youtube)で公開した20分の映像には、馬が従業員に殴られたり蹴られたりする様子や、血を採られて弱っている姿が捉えられている。映像は2019年から今年にかけ、アイスランド国内に119か所ある「血液農場」の一部で撮影された。

 アイスランドの家畜当局は、映像内での行為は動物福祉に反しているようで、事態を「極めて深刻に」受け止めているとしている。

 AWFとチューリヒ動物保護連盟は他の動物愛護団体と共に、欧州連合(EU)の欧州委員会(European Commission)に対し、PMSGの輸入と製造を禁止するよう求めている。

 AWFによると、PMSGが分泌されるのは妊娠初期に限られており、年に2度妊娠できるよう中絶させるという。「毎年、牝馬の約30%が牧場で死んだり、妊娠できなくなりEUの承認を受けている処理場に送られたりしている」

 アイスランド家畜当局は、国内で今年、約5400頭の牝馬に採血が行われたとしている。(c)AFP