【11月23日 AFP】チリ出身のアレハンドロ・ホドロフスキー(Alejandro Jodorowsky)監督の幻のSF映画『デューン(Dune)』の絵コンテ集が22日、仏パリのクリスティーズ(Christie’s)で競売に掛けられ、予想の100倍近くとなる266万ユーロ(約3億4300万円)で落札された。

 映画は1970年代に企画されたもので、サルバドール・ダリ(Salvador Dali)やミック・ジャガー(Mick Jagger)、ピンク・フロイド(Pink Floyd)が参加予定だったが、資金難のため実現しなかった。

 ホドロフスキー監督の『デューン』の絵コンテ集は、SFファンの間で伝説的存在とされてきた。競売では激しい競り合いの末、米国人が落札した。

 クリスティーズは、落札額を2万5000~3万5000ユーロ(約320万~450万円)と予想していたが、ティモシー・シャラメ(Timothee Chalamet)主演の『DUNE/デューン 砂の惑星(DUNE: PART ONE)』が世界的な大ヒットとなり、デューン人気が高まっていることを考慮していなかったという。

 絵コンテは、メビウス(Mœbius)のペンネームで知られたフランスの漫画家ジャン・ジロー(Jean Giraud)氏と、映画『エイリアン(Alien)』(1979年)のデザインを担当したスイス人イラストレーターのH.R.ギーガー(H. R. Giger)氏によるもの。

 原作となるフランク・ハーバート(Frank Herbert)氏の6作品で構成される小説「デューン」シリーズは、「スター・ウォーズ(Star Wars)」シリーズなどSF映画に大きな影響を与えた。

 ホドロフスキー監督の『デューン』の絵コンテは、『ブレードランナー(Blade Runner)』(1982年)などの作品に影響を与えたといわれている。

 クリスティーズによると、絵コンテ集の複製は10~20冊ほど存在するとされるが、正確な数は分かっていない。(c)AFP