■タブーを打ち破った女性選手

 最も画期的な変化をもたらしたのは、ルンピニーのメインアリーナで女性のムエタイ選手の試合を行うという決断だった。

 ムエタイでは長年、ファンを含めて女性はリングに触ることさえ禁じられていた。月経がある女性の体が触れると、神聖な力で守られたリングが汚れるという迷信があったためだ。

 他の会場はしばらく前から女性のムエタイ選手を受け入れるようになったが、ルンピニーはずっと門戸を開こうとしなかった。

 そのルンピニーのメインリングで13日、初めて女性が対戦した。タイ人のグンナラット・オーノック(Kullanat Ornok)選手(21)は、オーストラリア人のセレスト・ミュリエル・ハンセン(Celest Muriel Hansen)選手(27)を破った後、こう語った。「私たちは、女性としてここで初めて戦ったことをとても誇りに思う。平等を求めてずっと闘ってきたので」

■「魂の抜け殻」

 同じく13日、シティチョーク選手は男子の試合を制したが、獲得したファイトマネーは1000ドル(約11万5000円)以下。コロナ流行前なら、その3倍は稼げた。

 それに「空っぽのアリーナで戦うのはとても変な気分だ。観客のエネルギーがない中で戦うのは楽じゃない」と語る。

 さらに伝統の牙城とされる場所では当然かもしれないが、皆が素直に変化を受け入れているわけではない。

「以前とはすっかり違う。ムエタイの聖地が大きなショールームになってしまったみたい」だと、ジェイド・シリソンパンさんは試合の放送を見て嘆いた。「魂の抜け殻みたいです」 (c)AFP/Sophie Deviller and Pitcha Dangprasith