【11月28日 AFP】トルコ南東部の歴史的都市マルディン(Mardin)では、太陽が地平線から顔を出す頃、クリーム色のロバの群れがごみ収集の仕事を始める。このロバたちは日中忙しく働いた後、夜はクラシック音楽を聴きながら一日の疲れを癒やす。

 シリアから60キロ、かつてメソポタミアだった地域を見下ろす街の狭く、曲がりくねった路地を、ロバは市職員の指示に従いながらごみ袋を運ぶ。

 清掃員のカドリ・トパリ(Kadri Toparli)さんは「この街では数世紀前から清掃作業にロバを利用してきた。この狭い通りに入れるのはロバだけだ」と話し、「ロバがいなければ、この仕事はできない」と続けた。

 6万人が暮らす旧市街だけでも、1日当たり10トンのごみがでる。

 ロバには、それぞれの性格や身体的特徴を表す「寛大」や「色白」といった名前が付けられている。40頭ほどのロバについてトパリさんは、「市職員としての地位にある」と説明した。「ロバは私たちと同じように1日8時間働く。4時間で休憩をとります」

 最低でも150段以上の階段を上る一日の仕事が終わると、ロバは厩舎(きゅうしゃ)で音楽を聴きながらリラックスし、獣医師のケアを受ける。

 トパリさんは「私たちはロバを大切にしています。毎晩、クラシック音楽や伝統的な音楽を2時間聴かせています」と話し、「ベートーベン(Beethoven)の曲をかけると、幸せそうなのです」と説明した。(c)AFP/Burcin GERCEK