【11月20日 AFP】インドのナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相は19日、1年間にわたり農民による大規模な抗議デモを引き起こしていた農業改革法を廃止すると発表した。この劇的な方向転換を受け、農民は歓喜の声を上げたが、エコノミストからは批判も上がっている。

 インドでは数十年間にわたり、国家機関が農作物の最低価格を保証してきた。昨年9月に成立した改革法は、そうした農作物市場の規制緩和を目的としたものだったが、農業従事者側は大企業の支配を強めるものだと反発。首都ニューデリー郊外では昨年11月以降、多数の農民がキャンプを張って抗議を続け、同法の施行は農民との協議が行われる中で延期されていた。

 モディ氏は19日、改革法を改めて擁護。同法により農村部の所得は増加し、大量の農産物が販売前に腐る事態となっている極めて非効率な農産業を刷新できたはずだったとの見方を示した。

 同国のシンクタンク、オブザーバー・リサーチ・ファウンデーション(Observer Research Foundation)のエコノミスト、ガウタム・チケルマネ(Gautam Chikermane)氏はAFPに対し、「インド経済改革の歴史に残る暗黒の日だ。モディ氏がこれまでにした最悪の決断だ」と断言。「これにより、農業改革が今後25年間は行われない見通しになった」と述べた。(c)AFP