【11月19日 AFP】米ニューヨークの裁判所は18日、1965年に起きた黒人運動指導者マルコムX(Malcolm X)暗殺事件で男性2人に言い渡されていた有罪判決を破棄した。

 事件では66年、黒人イスラム運動組織「ネーション・オブ・イスラム(Nation of Islam)」のメンバー3人に終身刑が言い渡されたが、判決は長年、論争の的になっていた。

 判決が破棄されたのは、85年に釈放されたムハンマド・A・アジズ(Muhammad A. Aziz)さん(83)と、87年に釈放され2009年に死去したカリル・イスラム(Khalil Islam)さん。

 3人目の被告で、10年に釈放されたムジャヒド・アブドゥル・ハリム(Mujahid Abdul Halim)元受刑者(80)は暗殺を認めたが、他の2人の無実を一貫して主張していた。

 マンハッタン(Manhattan)地区検事局と2人の弁護団が1年10か月かけて共同で行った調査では、検察、連邦捜査局(FBI)、ニューヨーク市警(NYPD)が、アジズ、イスラム両元受刑者の無罪につながる可能性の高い証拠を隠していたことが判明。マンハッタン地区のサイラス・バンス(Cyrus Vance)検事は弁護団と共同で判決の取り消しを申し立て、法執行機関を代表して「数十年にわたる不正」を謝罪した。(c)AFP