【11月19日 AFP】ベラルーシから隣国ポーランドへ多数の移民が押し寄せている問題で、ポーランドは18日、国境を突破した移民200人を拘束したと明らかにした。ポーランド側は、ベラルーシの特殊部隊が移民の越境を裏で支援していると主張。先進7か国(G7)外相は共同声明で、ベラルーシ政府が国境での対立をあおっていると非難し、移民危機を終結させるよう要求した。

 ポーランド国防省は、国境地帯で前日に起きた出来事について、ベラルーシ軍が偵察を行った上で有刺鉄線の柵を破壊した「可能性が高い」と指摘。「その後、ベラルーシ側がポーランド軍兵士の気をそらすため、移民に投石するよう強要した。越境の試みは数百メートル離れた場所で起きた」と説明した。

 同省は「ベラルーシの特殊部隊がきのうの攻撃を率いた」と主張。国境警備隊によると、約500人の移民が国境突破を試み、うち200人が越境したが、身柄を拘束された。

 ポーランド側の国境地帯では報道陣の立ち入りが禁止されているため、同国当局の説明が事実かどうかは確認できていない。

 ポーランドとベラルーシの国境地域には、イラクのクルド人を中心とした移民数千人が押し寄せている。西側諸国は、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ(Alexander Lukashenko)政権が昨年のデモ隊弾圧に対して各国から科された制裁への報復として、この危機を引き起こしたと主張。ベラルーシと、同盟国のロシアはこれを否定し、欧州連合(EU)が越境を希望する移民を受け入れていないと批判している。

 EUとG7外相は共同声明で、ルカシェンコ政権に対し「攻撃的かつ搾取的な作戦を即時にやめる」よう求めた。一方でベラルーシ側は、危機的状況の緩和を望んでいると表明。18日には移民の帰国便として数百人を乗せた航空機が、ベラルーシからイラクに向けて出発した。(c)AFP