【12月12日 AFPBB News】「環境負荷ゼロ」と「難民ゼロ」を両立させたいという思いが込められた再生パソコンが、神奈川県横浜市でつくられている。パソコンの再生事業に携わるのは、日本に逃れてきた難民認定を待つ人々だ。

 ピープルポート株式会社(PEOPLE PORT)。代表取締役社長の青山明弘(Akihiro Aoyama)氏(31)が、「難民という立場にいる人たちが安全に働ける場所をつくろう」と、2017年に創業した。

 日本語が話せなくても技術を習得しやすく、母国に帰ってもスキルを生かすことができ、かつ日本社会にも貢献できる事業として、パソコンの再生・販売を選んだ。日本社会への貢献を意識した背景には、難民に対する「ネガティブ(な感情)や無関心」をポジティブなものに変えていきたいという思いがある。

 当初は、パソコンのリサイクル事業から始めた。回収した不要パソコンのうち、3割は状態が良く、十分に作動したことから、再生事業にも注力。現在は再生事業が主な収益源となっている。

 これまでに再生したパソコンは約3000台。「ZERO PC」ブランドで販売している。心臓部や消耗部品は新品と交換済みだ。

 製造過程では実質的に自然エネルギー100%の電力を使う。発送ではプラスチックの緩衝材を一切用いない。また、リユースにより温室効果ガス排出量の削減にもつなげている。

 ZERO PCのターゲット層は、新品のパソコン購入を検討している個人だ。ショッピングモールの催事会場とオンラインで販売している。

 パソコンの値段は、最低3万円台から。軽作業やテレワークなどの用途別で、四つの価格帯を設けている。無料の試用期間を設定したり、パソコン選びに迷っている人を対象としたコンシェルジュサービスを展開したりしている。