カナダ洪水で非常事態宣言、被災地に軍派遣
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【11月18日 AFP】カナダ政府は17日、記録的な豪雨により「壊滅的な洪水」に見舞われた太平洋岸のブリティッシュコロンビア(British Columbia)州に軍を派遣し、被災者と被災地を支援すると発表した。
気象当局によると、ブリティッシュコロンビア州のバンクーバー(Vancouver)と周辺地域には14日から15日にかけ、平年の1か月分に相当する最大250ミリの雨が降った。この豪雨の影響で幹線道路で土砂災害が相次ぎ、約300人が道路上で身動きが取れなくなったもようだ。これまでに少なくとも1人が死亡、4人が行方不明となっているほか、数千人が自宅からの避難を余儀なくされている。バンクーバー市街地と港湾部を結ぶ道路も寸断されている。
ジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)首相は、北米首脳会談のため訪問中の米首都ワシントンで、今回の洪水は「異常気象の影響」で発生したと語り、被災地への連邦レベルでの支援を約束した。
一方、ブリティッシュコロンビア州のジョン・ホーガン(John Horgan)首相は非常事態を宣言し、州への来訪を禁止すると表明。「州内全域が壊滅的被害を受けた」として、死者数は今後増加する恐れがあると述べた。
これに先立ちマイク・ファーンワース(Mike Farnworth)州公衆安全担当相は16日、「気候関連災害であることに疑いの余地はない」と語っていた。
テレビでは、土砂災害や洪水で被災した内陸部の複数の町の様子が報じられている。現地では今年最初の雪が降り始めており、人々は食料や飲料水、暖房用の燃料の確保を急いでいる。
大きな被害が出ているバンクーバー東方のアボッツフォード(Abbotsford)では、ヌックサック川(Nooksack River)の増水によりポンプ場の排水能力が限界に達する恐れがあるとして、市民16万2000人に避難指示が出ていた。同市は、1920年代にスマス湖(Sumas Lake)の水を抜いて農地として整備された土地が大部分を占める。
州内の主要な幹線道路は現在も通行止めが続いている。また、バンクーバー発着の鉄道路線も土砂災害のため不通となっている。報道によると、サプライチェーンが寸断された影響で、州内各地で食料品店の棚が空になっている。(c)AFP/Don MacKinnon with Michel Comte in Ottawa