■「私たちが試みるべきこと」

「地球規模サンゴ礁モニタリングネットワーク(GCRMN)」が行った過去最大の調査によると、地球温暖化に加えて環境汚染やダイナマイト漁の影響もあり、2009~2018年に世界のサンゴ礁の14%が消滅した。

 リバイブ・アンド・リストアでは、環境保護におけるバイオテクノロジーツールの開発支援用に800万ドル(約9億円)の基金を準備したが、その半分以上がサンゴ関連プロジェクトに投入された。

 同NPOのコーディネーターを務めるブリジット・バウムガートナー(Bridget Baumgartner)氏は「サンゴ用に開発されたツールは、他のさまざまな海洋生物向けにも汎用(はんよう)化できると私たちは考えています」と説明する。「ツールを簡単に調節して、海藻類やカキ、ヒトデなどの問題にも対処できればと願っています」

 もちろん遺伝子操作に対する懸念はある。米スタンフォード大学(Stanford University)・法とバイオサイエンスセンター(Center for Law and the Biosciences)所長のヘンリー・グリーリー(Henry Greely)氏は、遺伝子操作による奇形のリスクや、変異した動植物が自然界で予期せぬ結果を引き起こす可能性を指摘する。

 それでも生物種を滅亡から救うためには、この技術を使う価値があると同氏は考えている。「私はこのアプローチのファンです。ただし注意深く行うこと、適切な規制や慎重さが必要でしょう」

 米国の生命倫理研究所「ヘイスティングスセンター(Hastings Center)」の研究員、グレゴリー・ケブニック(Gregory Kaebnick)氏も、生物を守るための遺伝子操作を支持している。

 同氏は遺伝子操作によって生物に異常が起きる可能性よりも、持続的で効果的な変化を全く起こせない可能性の方が高いと指摘する。「操作によってサンゴが生き延びる見込みについてはそれほど期待しませんが、これは私たちが試みるべきことではないでしょうか」 (c)AFP/Chandan Khanna with Glenn Chapman in San Francisco