【11月24日 AFP】米フロリダ州の研究所で金色に輝く小さなサンゴ。ここでは気候変動からサンゴを守るための緊急手段が試されている。

 科学者らは、気候の影響を受けにくい種から取り出した幹細胞を、影響を受けやすい種に移植することで、海水の温度上昇や酸性化からサンゴを救えるかどうかを見極めようとしている。つまり地球温暖化問題は、ある生命体を存続させるためにその遺伝子に手を加えようとする段階にまで達したのだ。

 米マイアミ大学(University of Miami)の研究チームを率いるニッキー・トレイラーノウルズ(Nikki Traylor-Knowles)氏は「サンゴ礁は驚異的な速さで死んでいます。気候変動についていけないのです」とAFPに語った。

 この研究はサンフランシスコ近郊を拠点に活動する米環境保護NPO「リバイブ・アンド・リストア(Revive and Restore)」の支援を受けている。動植物を絶滅から救う上で、遺伝子操作は有効な手段だというのが同NPOの見解だ。

 共同創始者のライアン・フェラン(Ryan Phelan)氏は「生物種が進化によって適応するのを手助けしているような時間的猶予はありません」と訴える。「私たちが介入せざるを得ません。さもなければ(危機にひんした種を)失うことになります」

 とりわけサンゴの救出は緊急を要している。温室効果ガス排出で生じる熱の90%以上を吸収するのは海だからだ。その結果、陸上は熱波から保護されるが、より強大で長期にわたる海洋熱波が生じる。これによって、生物多様性に富み「海の熱帯雨林」とも呼ばれるサンゴの多くの種が耐えられなくなる。