砂漠の新首都、エジプト大統領のレガシーづくりか?
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■「歴史に名をとどめたい」大統領
一方で膨大な建設コストは、財政支出の優先順位として適切ではないと批判されている。エジプトでは人口1億200万人のうち3分の1が、貧困ライン以下で暮らしている。
カイロ大学(Cairo University)のムスタファ・カメル・サイード(Mustapha Kamel al-Sayyed)教授(政治学)は、ほとんどの人々は新首都でアパートや住宅に住む経済的余裕などないと指摘する。
「(政府が)近代的とうたっている計画は、単に欧米の近代性を象徴するものをエジプトに移し替えることです。(中略)つまり高層ビルや幅広い道路、先進技術を所有しようというだけです」。しかし本当の意味での近代性とは、優れた教育を提供するなどの「責務を、政府が国民に果たすことを言うのです」。
古代エジプトのファラオ(王)の時代から「行政首都は統治者を国民から隔離する目的で設置されていた」とサイード氏は言う。
さらに歴代の大統領と同様、シシ大統領はレガシーを築きたいのだと同氏はみる。引き合いに出したのは、故ガマル・アブデル・ナセル(Gamal Abdel Nasse)大統領が率いたアスワンダム(Aswan Dam)の大工事(1970年完成)だ。
「シシ氏は、権力の中枢をカイロから自分の名声が永遠に残る場所に移し、歴史に自分の名をとどめたいのです」 (c)AFP/Mona Salem