【11月16日 AFP】中国で、新型コロナウイルス対策で隔離された住民が飼っていたコーギー犬を、保健当局者がバールで撲殺する様子を捉えた動画が先週浮上し、怒りが広がっている。ソーシャルメディアでは、地方当局が政府のゼロコロナ戦略を実行しようと過激な措置を講じていることに、懸念の声が出ている。

 動画が撮影されたのは、江西(Jiangxi)省上饒(Shangrao)。ある集合住宅で新型ウイルス感染が確認されたとして、その一室に住むコーギーの飼い主もホテルでの隔離を命じられた。感染拡大の徹底阻止を目指す当局による、妥協のない典型的な対応だ。

 翌日、防護服姿の保健当局が飼い主の部屋に入った。監視カメラには、職員1人がバールでコーギーの頭を殴る様子が映っていた。

 飼い主の女性は上海のテレビ局に対し「たとえ犬がリスクになったり、新型ウイルスに感染したりしていたとしても、少なくともまず検査すべきだった」と訴えた。

 動画が拡散するにつれ、新型ウイルス対策規則を適用する当局による動物の扱いについて、怒りが広がった。

 上饒当局は13日、飼い主に謝罪したと発表。関与した職員は「処分と研修」を受け、職務を解かれたとしている。

 中国はこれまで、徹底したロックダウン(都市封鎖)や集団検査を実施し、市中感染をごく少数に抑えてきた。地方当局は、隔離された住民が残したペットにも容赦ない対応をすることが多い。

 北東部にある黒竜江(Heilongjiang)省では9月、コロナ感染者の飼い猫3匹も感染していることが判明し、安楽死処分されたと地元メディアが報じている。(c)AFP