【11月16日 AFP】男子テニスのニック・キリオス(Nick Kyrgios、オーストラリア)が16日、来年1月の全豪オープン(Australian Open Tennis Tournament 2022)中止を呼び掛けた。また、新型コロナウイルスワクチンの接種有無を公表していないノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)についても、珍しく同情を示した。

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 キリオスは四大大会(グランドスラム)のシーズン初戦である全豪オープンについて、開催地メルボルンが新型ウイルスの感染拡大に苦しんできたことを考慮し、開催すべきでないと主張した。

 メルボルンは計260日以上続いたロックダウン(都市封鎖)が解除されたばかりで、キリオスは再び状況を悪化させるリスクを取るに値しないとの考えを示し、「とにかくメルボルンの人々のために、全豪オープンを開催すべきではないと思う。このメッセージを送る必要がある」と自身のポッドキャスト番組で語った。

 今年の全豪オープンは開催されたものの、出場選手はホテルで2週間の隔離生活を強いられたほか、観客人数も制限され、開催期間中には5日間のロックダウンで一時無観客となった。

 2022年大会の主催者は予定通りの開催へ断固とした姿勢を見せており、ワクチン接種が完了している選手は隔離免除でオーストラリアに入国できる見込みで、隔離や衛生が保たれた「バブル」環境下にとどまる必要もないとみられる。

 一方、ワクチン未接種の選手に関しては、豪ビクトリア(Victoria)州のダニエル・アンドリュース(Daniel Andrews)首相が例外を認めないとの考えを示しており、ワクチンを接種したかどうか明らかにしていないジョコビッチらは不透明な状況に置かれている。通算9度の全豪制覇を誇る同選手は、大会連覇が懸かっている。

 キリオスは今年の全豪オープンで、ホテルでの隔離措置を緩和するように要求したジョコビッチを「愚か」と非難するなど、世界1位の同選手とはこれまで確執を抱えてきた。

 しかし、今回はそうした態度を和らげ、ジョコビッチには出場する権利があると主張。米プロバスケットボール(NBA)のスター選手で、ワクチン接種を拒否したことで今季開幕から欠場しているカイリー・アービング(Kyrie Irving)の名前も出しながら、「カイリーにノバク…、彼らはいろいろなことに貢献し、たくさんのことを犠牲にしてきた。彼らは大勢の人が尊敬する世界的なアスリートだ」と話した。

「ワクチンを強制するのは、道義的に大きく間違っていると思う」というキリオスは、「自分は2回の接種を完了したが、誰かに(接種を)強制したり、『ワクチンを打っていないから、ここに来てプレーすることはできない』と言ったりするのは正しいとは思えない」と続け、「毎日検査するとか、他の解決策がある」と付け加えた。(c)AFP