■太平洋での「フランスの信頼性が高まる」

 少し離れた場所で、チームは船体を並べて止まっている2隻の船を見つけた。

 1回目の接近で疑惑が強まった。2隻はポンプ用のホースでつながれており、大きい方のタンカーは喫水線の位置から見て満載と思われた。小さい方は商船だ。

 商船は「禁制品を運ぶのに好都合だが、単に給油中ということもあり得る」とチームのメンバーの一人が説明した。

 タンカーと連絡は取れたものの、船員は小型船がタンカーにつながれている理由は知らないと主張した。

 フランスの海軍チームは、こうした船舶の情報をできるだけ多く集めて国連に報告する。国連はそれを受け、国連安全保障理事会(UN Security Council)決議の第2375号と第2397号に対する違反の有無を調査する。いずれの決議も、核兵器とミサイルの開発を進める北朝鮮への天然ガスと石油の販売・供給および移送を制限している。

 違反が判明すると、場合によって、船舶と船主に相応の措置が取られる。

 チームは10月中旬、仏領ポリネシア(French Polynesia)の基地から日本に到着した。

 フランス軍は2018年より、北朝鮮の船舶を偵察する任務に8か国と共に参加しており、制裁決議の実施を担う「執行調整所(Enforcement Coordination Cell)」の指揮下にある。

 フランスは、海外領土と広大な排他的経済水域(EEZ)を有するインド太平洋地域での安全保障戦略を2019年に発表しているが、この偵察活動は同地域でのプレゼンスを高めることにつながる。

 英シンクタンク「国際戦略研究所(IISS)」のリサーチアナリスト、ユーゴ・デシ(Hugo Decis)氏は、偵察活動に参加することで「フランス軍が太平洋で同盟国と連携する力が認められ、たとえ補助的でも、一つの勢力としてフランスの信頼性が強まる」との見方を示した。

 映像は2日撮影。(c)AFP/Mathias CENA