【11月15日 AFP】米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)はこのほど、米軍が2019年にシリアで行った空爆で民間人約70人を殺害したにもかかわらず、事実を隠蔽(いんぺい)していたと報じた。これについて米中央軍(CENTCOM)は14日、空爆の正当性を主張した。

 ニューヨーク・タイムズは13日、シリアで活動していた米軍の特殊作戦部隊がイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の拠点であるバグズ(Baghouz)近郊で、民間人の一団に爆弾3発を投下して約70人を殺害したと報じた。犠牲者の多くは女性や子どもだったという。

 記事はまた、米軍法務官が「問題の空爆は戦争犯罪に当たる恐れがあると指摘した」が、「軍はほぼ全ての局面で惨劇を隠蔽する行動を取った」としている。

 ニューヨーク・タイムズは、機密文書や直接の関係者への聞き取り、最高レベルの機密取り扱い権限を有する当局者への取材に基づき、「死者数は過少申告された。報告書は遅れ、問題とされた部分は削除され、機密指定された。米軍主導の連合軍は空爆現場をブルドーザーで埋め戻した」と報じた。さらに、米国防総省の監察官による独立調査報告も「大幅に遅れ、空爆に関する記述は全て削除された」とした。

 中央軍は報道を受け、軍の調査の結果、空爆は「正当な自衛」であり「規模も妥当」で、「民間人がいないことを確認する適切な手順が踏まれた」ことが確認されていると反論した。

 軍の調査は、IS戦闘員16人の他に少なくとも民間人4人が死亡し、8人が負傷したと結論付けている。

 中央軍のビル・アーバン(Bill Urban)報道官は、調査では「その他の犠牲者60人余りについては身元を特定できなかった」と説明。一部の女性や子どもは「洗脳されたにしろ自分で選択したにしろ、戦闘に参加することを決断しており、そうした人々まで民間人であると厳密に分類することはできない」と述べた。(c)AFP