山奥のツツジ園 中国・雲南
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【11月15日 People’s Daily】北はチベット高原に接する中国南西部の高黎貢山(Gaoligong Mountain)には、中国の高等植物種の約17%と哺乳類種の約30%が集中的に分布している。中国科学院生物多様性委員会が編さんした「中国生物多様性」という本は、高黎貢山を「国際的意義を持つ陸上生物多様性の重要地区」と位置づけている。
高黎貢山騰沖(Tengchong)区間の林家鋪科学研究監視ステーションでは、山林に今年植えたばかりのオオキツツジの苗が散らばって分布している。このツツジは高黎貢山の代表的な植物の一つだ。「ツツジの花王」と呼ばれ、その幹は高くそびえている。分布域が極めて狭く、数も少ないため、20世紀初頭に最初のオオキツツジが偶然発見されて以来、何年も誰も見かけたことがない。
高黎貢山国家級自然保護区保山管護局騰沖支局の段紹忠(Duan Shaozhong)副局長は次のように説明した。オオキツツジの正体を把握するため、中国の科学者は高黎貢山の奥地に深く入り、長年にわたる探索を始めた。20世紀80年代の初めまでに、植物学者の馮国楣(Feng Guomei)の研究チームは騰沖界内の高黎貢山の中腹で数本のオオキツツジを発見した。オオキツツジの群落の発見は、科学研究者にさらなる自信を与えた。
1983年、雲南省(Yunnan)人民政府は高黎貢山省級自然保護区の設立を承認し、同保護区は、1986年には国務院の承認で国家級自然保護区に昇格した。政府省庁と研究者による体系的な野外調査が行われ、2014年には1771本の保有が最終的に確認された。
「オオキツツジの種子は胡麻粒よりも小さく、木から落ちたら原始林の生息環境では発芽しにくく、温度、湿度、標高などの条件が厳しく、個体群の自然進化と繁殖拡大が容易ではない」。段副局長は、自然進化や繁殖拡大が困難になれば、人為的な救助が必要になる。中国科学院昆明植物研究所(KIB)、雲南省林業・草原科学院などの機関は、オオキツツジの人工繁殖および繁殖拡大の実験を行った。実験室で繁殖に成功した苗は、生息条件に近い場所で復帰栽培の実験を行うと紹介した。
林家鋪は復帰栽培の実験基地の一つとなっている。統計によると、林家鋪に最後に植え替えられた苗は計200株、栽培時期は今年5月で、現在良好に成長している。2017年に初めて植え替えられた苗の生存率は60%に達し、4年間で苗の高さが25センチから最高で60センチまで成長した。「われわれが植え替えた苗は基本的に25センチほどで、この高さが野外の生息環境で良好な光合成を行い、自然に育つことができる。オオキツツジは自然成長が遅く、4年でこのぐらいの成長なら、復帰栽培に成功したと言える」と、段副局長は語った。
2005年、雲南省は微小個体群の保護を提案した。2010年、雲南省人民政府は「雲南省微小個体群種救助保護計画綱要(2010〜2020年)」の実施を承認し、62種の植物と50種の動物を微小個体群種に加え、緊急保護を実施した。高黎貢山では、野外調査後、近地保護および人工繁殖・野生復帰などの手段を通じて、オオキツツジ、保山アカネ、滇桐などの絶滅危惧種、近絶滅種を保護してきた。
独竜江郷(Dulongjiang)の木小竜(Mu Xiaolong)郷長は、「現在、われわれによる林での栽培はすべて二次林の範囲内で行われており、規模を制御し、保護区原生林での栽培は絶対に許可しない。巡回員が定期的にパトロールし、生態保護赤線を厳守している」と紹介した。(c)People’s Daily/AFPBB News