【11月16日 People’s Daily】10月25日、チベット自治区(Tibet Autonomous Region)初の電気鉄道がラサ(Lhasa)からニンティ(Nyingchi)まで開通してから4か月がたった。10月の始めには沿線旅客の運送がのべ40万人を超え、高速鉄道「復興号」に乗り込むと沿線住民の変化を実感する。

 ニンティ駅は山に抱かれ、駅舎は伝統的なチベット形式と現代建築を融合させたデザインである。この路線を走る「復興号」の車両は一見普通だが、高原という複雑な環境下で走るためのさまざまな工夫が施されている。車両内にはデマンドシステムや電力源が2種類備えられており、不測の事態にはいつでも動力を切り替えられるようになっている。

 6歳の子どもと列車に乗っていた女性客に話を聞いた。彼女はニンティの人で、上海師範大学(Shanghai Normal University)で勉強している。チベットの交通事情は年々良くなり、交通手段の種類も増え、便利になってきたという。彼女たちを含め、乗客の多くは人体工学に基づいた椅子に腰掛け、車窓の風景を楽しみ、思い思いに風景を写真に収めていた。ラサーニンティ線は美しい風景の中を走っていくが、それは無数の鉄道技師の汗と涙の結晶である。ラサーニンティ線は全長435.48キロ、設計時速は160キロ、沿線には47のトンネルと121の橋梁があり、路線の90%以上は標高3000メートル以上を走る。

 朗県駅(Nang County)で、1組の夫婦が乗車してきた。彼らは今年チベット大学(Tibet University)に合格した娘をラサに送った帰りで、一家は初めて鉄道に乗ったという。「以前は、ラサに行くには車で往復していました。今は道路もずっと良くなったけれど、天気が良いときでも早くて6時間近くはかかりました。雨や雪に遭えばもうだめです。今は列車に乗ってたったの2時間ちょっと。時間もかかりませんし、雨も風も平気だし、これからは便利になります」と、彼らは記者に語った。

 成都(Chengdu)から来たサラリーマンは、チベットへの出張が多いという。「私の会社はニンティとラサでの仕事が多くて、この列車の開業は本当にありがたいものでした。今まではラサまで飛行機で行っていたのですが、標高500メートルの成都から急に3600メートル以上のラサへフライトすると高山病がひどかったのです。今は先にニンティへ飛んで2日ほど仕事をします。標高3000メートルのニンティで身体を慣らし、その後ラサへ行ってもう少し慣らすのです。なかなか効果的ですよ」

 高原を走る列車はさらに延伸中だ。ラサーニンティ線はラサーシガツェ鉄道および青海ーチベット鉄道と接続するだけでなく、2020年11月に建設が始まった四川ーチベット鉄道の重要なパートである。同路線の建設は10年の工期が予定されており、竣工(しゅんこう)すればラサから成都が10時間でつながる。

 ラサーニンティ線の受益人口は131万人とされ、これはチベット自治区の人口の38.2%を占める数字だ。鉄道事業の発展が加速すれば、同区の経済発展と地域の振興において大きな効果があるだろうと関係者は語る。(c)People’s Daily/AFPBB News