■消費意欲が高い国民の意識に変化が

 屋外に廃棄されるか地中に埋められた衣料品からは有害物質が発生し、大気や地下水が汚染される。

 合成繊維や化学処理された衣類は、場合によっては生分解に約200年かかり、廃棄されたタイヤやプラスチックと同じくらい有害だ。

 しかし、すべての衣服が廃棄されるわけではない。人口30万人のこの地域の最貧困層の中には、砂漠のごみの山の中から自分に必要な衣服や持ち帰って売れそうなものを探して拾う人々もいる。

 南米で最も豊かなチリは、国民の消費意欲が高いことで知られる。

 しかし状況は変化してきていると、ロサリオ・エビア(Rosario Hevia)さんは言う。エビアさんは、子ども服のリサイクル店を開いている。2019年には、廃棄されてぼろぼろになった生地や衣料品から織り糸を生産する会社「エコシテクス(Ecocitex)」を立ち上げた。作業の工程では、水も化学製品も使用しない。

「私たちは長いこと消費してきました。衣類がどんどんごみになっていっても、誰もが無頓着だったように思います」とエビアさんは言う。

「でも最近は、それでいいのだろうかと自問する人が増えてきました」 (c)AFP/Paula BUSTAMANTE