【11月18日 AFP】干ばつに見舞われたアフガニスタン西部。家族で生き延びるため、夫が2人の幼い娘を花嫁として売って以来、妻のファヒマさんは泣いてばかりいる。

 泥れんがと防水シートでできた国内避難民用のテントの中に、6歳のファリシテちゃんと1歳半のショクリヤちゃんが並んで座っていた。本人たちは、自分が売られたことを知らない。

「夫に言われました。娘たちを手放さなければ、みんなが死ぬことになる。食べる物が全然ないんだぞって」とファヒマさんは語った。アフガニスタンでは、多数の家族が同じ選択を迫られている。

 ファリシテちゃんには3350ドル(約38万円)の値が付いた。歩き始めたばかりのショクリヤちゃんは2800ドル(約32万円)。婚家に入るまでの数年間、分割払いされる。2人の結婚相手も未成年だ。

 児童婚はアフガニスタンで何世紀も前から続いてきた慣習だが、戦争や気候変動で多くの家族が貧困にあえぎ、より幼いうちから娘を結婚させるようになっている。

 息子を持つ親たちは、値切り交渉をしながら、より幼い女子を獲得する。

 10月下旬、国連(UN)の世界食糧計画(WFP)は、アフガニスタン人口の半数以上に当たる約2280万人が11月以降、急性の飢餓に直面すると警告した。

 アフガニスタン西部バドギス(Badghis)州も、干ばつによる大きな被害を受けている。州都カライノウ(Qala-i-Naw)では、家族を養えず、離れ離れになるしかない状況を恥じて悲しむ親たちが少なくない。

 村の首長や避難民キャンプのリーダーによると、多数の国民が飢えに苦しんだ2018年も、幼い頃から婚約させられる女子が増えたが、雨が降らなくなった今年もその数は急増している。

 住む家を失い、娘を花嫁として売る決断を下した農家を取材で探すと、すぐに十数世帯見つかった。

 ファヒマさんの隣人グルビビさんは、避難民キャンプにいる多くの家族が児童婚という手段を選んだことを認めた。

 自身の娘アショーちゃんは10歳に満たないが、グルビビさんが借金をしている相手の家族で23歳の男性と婚約している。婚約者は今、隣国イランに住んでいるが、帰国する日をグルビビさんは恐れている。