字幕:コロナ後の嗅覚障害と闘う患者と医師 スペイン
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【11月13日 AFP】スペイン第2の都市バルセロナ(Barcelona)の病院で、医師が女性患者の鼻に試験管を近づけ、どんなにおいがするか尋ねる。患者が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)にかかったのは1年半前だ。
「蜂蜜、バニラ、チョコレート、それともシナモンですか?」。「バニラでしょうか」とエンカルナ・オビエド(Encarna Oviedo)さん(66)は答えるが、自信なさげだ。
スペインではコロナ感染後に推定50万人が嗅覚を失っている。オビエドさんはその一人だ。
昨年3月、彼女はコロナに感染したものの軽症だった。スペイン全土に感染が広がり、欧州でも最悪の流行国に数えられていた頃だ。
ここは市の北西部にあるムトゥア・タラサ病院(Mutua Terrassa Hospital)の嗅覚専門外来。医師は「嗅覚トレーニング」を通じて、嗅覚の回復を図っている。数か月にわたって、さまざまなにおいを患者に嗅がせ、脳を再訓練してにおいを識別させる。時間のかかるプロセスだ。
市内の病院オスピタルクリニック(Hospital Clinic)で嗅覚診療を率いるジョアキン・ムヨル(Joaquim Mullol)医師は「新型コロナウイルスに感染した患者の約70%が、嗅覚を喪失します」と語る。そのさらに4分の1は、長期間にわたって嗅覚が完全に回復しないままだという。