【11月10日 AFP】ポーランドのマテウシュ・モラウィエツキ(Mateusz Morawiecki)首相は9日、隣国ベラルーシから前例のない規模の移民が国境に押し寄せ不法越境を試みている問題について、この「攻撃」の黒幕はロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領で、欧州連合(EU)を不安定化させようとしていると非難した。

 ポーランドとベラルーシの国境では凍えるような寒さの中、数千人の移民が立ち往生している。両国から部隊が派遣されており、衝突が起きる恐れもある。

 欧米諸国はここ数か月、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ(Alexander Lukashenko)大統領がEUによる経済制裁への報復として、中東から呼び寄せた移民をポーランドに送り込んでいると非難している。

 欧州委員会(European Commission)のピーター・スターノ(Peter Stano)報道官は9日、「これはルカシェンコ政権の非人道的でギャングさながらの手法の一例にすぎない」と語った。

 ベラルーシはEUの主張を否定し、EU加盟国であるポーランドが移民の入国を拒否し、人権を侵害していると反論した。

 ルカシェンコ氏は国営ベルタ(Belta)通信に対し「われわれは戦いを望んでいない」と述べた。

 さらに「私は狂人ではない。戦いの行きつく先は十分理解している」として、「だがわれわれは屈服しない」と主張した。

 モラウィエツキ氏は9日、国境に配備されている警備隊や軍隊、警官隊を慰問した後、議会で「ルカシェンコ氏が行っている攻撃の黒幕はロシア政府、プーチン大統領だ」と述べ、ベラルーシの主要支援国であるロシアを非難した。

 ロシアのセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相は、移民を追い立てたのは中東で「危険な行為」をした欧米軍に他ならないと非難した。

 さらに、EUがトルコからの難民をとどめるために資金提供したことに触れ、「なぜ同じ方法でベラルーシを支援しないのか?」と問い掛けた。(c)AFP/Anna Maria JAKUBEK with Michael MAINVILLE in Moscow