【11月15日 AFP】直近5年のJリーグ1部(J1)で4度目のリーグ制覇を果たした川崎フロンターレ(Kawasaki Frontale)は、アジアの名門になることで国内リーグ席巻後の新たなレベルに進めると識者は話している。

 今月初め、4試合を残して連覇を果たした川崎はリーグ戦で2敗しか喫しておらず、ここまでリーグ新記録となる85ポイントを獲得している。

 識者は、チームがまだスタートを切ったばかりで、アジア最高峰の大会であるAFCチャンピオンズリーグ(AFC Champions League)で結果を残すポテンシャルを秘めていると考えている。

 20年にわたり川崎を取材しているサッカージャーナリストの江藤高志(Takashi Eto)氏は、「強いチームであり続けると思います。等々力競技場(Todoroki Stadium)もサッカー専用スタジアムに変わる予定です。それが完成すればサポーターもより集まるでしょう」と語った。

「東京のチームではないですが首都圏のクラブではあるので、アジアに名をとどろかせるチームになるでしょう」

 これまで川崎は4度のリーグ制覇を成し遂げ、天皇杯(Emperor's Cup)とJリーグカップ(J League Cup)でもそれぞれ1度ずつ優勝しているが、これらは全て直近5年での達成となっている。

 しかし、AFCチャンピオンズリーグではいまだインパクトを残せておらず、8度の出場で一度も準々決勝を突破したことがない。

 今季はグループステージを全勝で通過したものの、決勝トーナメント1回戦で前年王者の蔚山現代(Ulsan Hyundai)にPK戦の末に敗れ、ベスト16敗退となった。

 現役時代、川崎一筋でプレーした元日本代表MFの中村憲剛(Kengo Nakamura)氏は「アジアを取らないとクラブとしてもう一つ上のレベルには行けない」と指摘する。

 川崎で約700試合の公式戦に出場し、今年1月にスパイクを脱いだ中村氏は「ACLに対するみんなの思いは年々強くなっています」とした上で、「来季は『今度こそ』というシーズンになると思います」と続けた。

 クラブのレジェンドである中村氏が引退し、MF守田英正(Hidemasa Morita)もポルトガル1部に移籍したことで、今季は川崎の連覇を疑う人もいた。

 さらに今夏、東京五輪に出場したMF三笘薫(Kaoru Mitoma)とMF田中碧(Ao Tanaka)がそろって欧州クラブに引き抜かれたことも、チームにとっては打撃となった。

 それでも川崎の鬼木達(Toru Oniki)監督は、2017年に指揮官に就任してから安定した結果を残し続けており、メンバーが大きく入れ替わった今季も冷静に対処した。

 優勝を決めた後「選手を信じていれば必ず良い結果が生まれると思います」と語った鬼木監督は「選手を信じることが大事だと、そう信じてこの5年やっています」と述べた。