【11月10日 AFP】フランスの保健当局は8日、メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンが心臓の炎症を引き起こすリスクをわずかに高めるとの調査結果が出たことを受け、30歳未満の米モデルナ(Moderna)製新型コロナウイルスワクチン接種を推奨しない方針を示した。

 フランス政府と密接に連携している独立系の医薬品安全性研究機関エピファール(Epi-Phare)は、フランス全土を対象とした調査を実施し、これまで懸念されていた心筋炎・心膜炎のリスクについて確認。ただし、症例はまれであり、ワクチンの有効性に疑問を呈するものではないとしている。

 調査では、フランス国内で今年5月15日~8月31日の期間中、心筋炎や心膜炎で入院した12~50歳の人々の症例を分析。結果、米ファイザー(Pfizer)製とモデルナ製の両ワクチンが、接種後7日以内にこれらの病気のリスクを高めることが分かった。

 リスクは低いものの、発症例は30歳未満の男性で比較的多く、特にモデルナ製ワクチンの2回目接種後に発症するケースが多かった。モデルナ製ワクチンは接種100万回当たり132件の心筋炎を引き起こした可能性がある。一方、ファイザー製ワクチンでは、接種100万回当たりの推定症例数が27件と、80%近く低い結果となった。

 30歳未満の女性では、モデルナ製ワクチンの接種100万回当たり37件の心筋炎が発生した可能性がある。ワクチン接種後に心筋炎・心膜炎で入院した患者のうち、死亡した人はいなかった。(c)AFP