【11月9日 People’s Daily】五輪発祥の地、ギリシャ・オリンピアにあるヘラ神殿跡で10月18日、北京冬季五輪の聖火がともされた。

 この日の正午、太陽の光が降り注ぐヘラ神殿跡では、五輪をたたえる歌が成り響き、五輪旗がゆっくりと掲げられた。最高司祭に扮(ふん)したギリシャの有名女優クサンティ・ジョルジウ(Xanthi Georgiou)さんが光の神アポロンに祈りをささげ、鏡を使って集めた太陽の光にトーチをかざすと、鮮やかに燃える炎がともった。その瞬間、息をのんで待っていた会場から歓声と拍手がわき起こった。

「この炎は、オリンピック精神のシンボルです」。北京五輪組織委員会の于再清(Yu Zaiqing)副会長はそう話し、「新型コロナウイルスが猛威を振るう中、聖火は人々に自信と温かさ、希望をもたらし、コロナ禍を克服する力を呼び起こすものとなる」と強調した。

 最初のランナーとして、ギリシャのアルペンスキー男子、イオアニス・アントニウ選手が公式トーチ「飛揚」を掲げて聖火リレーがスタート。銀と赤のトーチは「氷と火が出会い、情熱が飛揚し、氷雪を明るく照らし、世界を温める」というメッセージが込められている。第2走者は中国の元ショートトラックスピードスケート選手、李佳軍(Li Jiajun)さん。李さんは1998年長野大会の男子1000メートルで銀メダルを獲得し、冬季五輪で中国男子初のメダリストとなった。

「ギリシャの地で聖火ランナーになれることは非常に神聖なことだと思っています。私は1981年からウインタースポーツの世界に身を投じ、引退した今も北京大会に向けて代表チームのトレーニングに関わっています」。五輪に4回出場している李さんは、聖火を高々と掲げ、力強い姿を見せた。北京冬季五輪の聖火は、14億の中国人の心にある情熱と夢に灯をともした。

 国際オリンピック委員会のトーマス・バッハ(Thomas Bach)会長は「北京は五輪史上初めて、夏季大会と冬季大会を開催する都市となる。2022年北京冬季五輪は中国が世界の人々と連携し、中国で3億人がウインタースポーツに参加するという目標を実現し、ウインタースポーツの歴史を永遠に変えることになる」と称賛した。

 2008年3月30日、中国はこのオリンピアの地で北京夏季五輪の聖火を受け、世界の人々とともに比類無き五輪を開催した。13年の時を経て、中国のオリンピックムーブメントは飛躍的成長を遂げている。オリンピック精神を象徴する聖火は再び、万里の長城のもとに掲げられ、平和と友情の明かりを照らしていく。

 10月19日、ギリシャ五輪委員会はパナシナイコ競技場で北京組織委に聖火を引き渡した。ギリシャ五輪委員会のスピロス・カプラロス会長は「炎が再びともされる光景は、世界に希望をもたらすものだ。北京大会が人間の意志と努力の勝利を示すものとなり、世界最高のアスリート素晴らしい成績を残し、五輪史に輝かしい1ページを刻むと信じている」と語った。(c)People’s Daily/AFPBB News