【11月8日 People’s Daily】10月16日午前0時23分、有人宇宙船「神舟13号(Shenzhou-13)」を搭載したロケット「長征2号F」が中国西部の酒泉衛星発射センターから打ち上げに成功した。約9分42秒後、神舟13号はロケットから分離して予定の軌道に入った後、中国宇宙ステーションのコアモジュール「天和(Tianhe)」とドッキング。午前9時58分、宇宙飛行士の翟志剛(Zhai Zhigang)さん、王亜平(Wang Yaping)さん、葉光富(Ye Guangfu)さんの3人は「天和」に入った。3人は天和で活動する宇宙飛行士の第2陣であり、王さんは天和に乗り込んだ初の女性飛行士となった。

 2013年に神舟10号に搭乗した王さんは「宇宙教師」の名前で知られている。彼女は聶海勝(Nie Haisheng)飛行士と張暁光(Zhang Xiaoguang)飛行士のサポートを受け、神舟10号から全国の子どもに向けて40分間「宇宙授業」を行い、無重力環境で多くの科学実験をした。今回のミッションではさらに「中国で初めて宇宙ステーションで活動する女性飛行士」「中国で最も長く宇宙に滞在する女性飛行士」「中国で初めて船外活動をする女性飛行士」と多くの称号を受けることになる。

 緻密でひたむきな性格の王さんはかつて、輸送機のパイロットを務めていた。2003年、当時23歳の王さんは、中国初の宇宙飛行士、楊利偉(Yang Liwei)さんが宇宙に飛び立つ姿をテレビで見て、宇宙飛行士の道を志した。のちに王さんは神舟10号から帰還した際、「宇宙では夢を見るんですか?」という子どもの問いに「夢を見るかどうか以前に、宇宙にいる間、私はずっと夢の中にいる気分でした」と答えている。

 王さんにとって神舟10号の搭乗は「夢の始まり」にすぎなかった。再び宇宙に戻り、宇宙ステーションに乗り込む今回のミッションに対し、王さんは持ち前の苦難を恐れない性格を発揮している。宇宙ステーションの任務には負担の大きい船外活動が含まれている。筋力や手足の長さで男性飛行士と差がある中、重さ200キロの船外用宇宙服をまとって同じように活動しなければならない。

 船外活動用の訓練は過酷なものだった。200キロのスーツを着て5~6時間作業すると、手が震えてペンが持てなくなるほどだった。それでも王さんは休日も返上して訓練に励んだ。腕立て伏せやバーベルの持ち上げ、鉛の球を握るなどの体力強化に励んだ。水中訓練を終えるたびに達成感を味わえるようになり、他の宇宙飛行士とどちらが筋肉がついているか競うようになった。

 王さんは写真や音楽、スポーツ、旅行など幅広い趣味を持つ1980年代生まれの女性だ。特にバスケットボールやバドミントンのダブルス、陸上のリレーなど団結して競技をするスポーツが好きで、仲間と協力することで幸福感を得られるという。

 王さんは自分のミッションに自信を持っている。「よく『空を飛ぶことは不確実性の芸術である』と言われますが、宇宙飛行士の場合は、『空』に到達した後のパフォーマンスがすべてだと思います。宇宙で再び美しい地球を見つめ、宇宙ステーションでいつもと違う年越しをしたり、船外から宇宙を見たりすることを楽しみにしています」 (c)People’s Daily/AFPBB News