【11月8日 AFP】7日に行われた男子テニス、パリ・マスターズ(Rolex Paris Masters 2021)のシングルス決勝で、ノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)に敗れたダニール・メドベージェフ(Daniil Medvedev、ロシア)が、優勝したジョコビッチについて、最近は流れが変わってファンからふさわしい敬意を得られるようになっているが、すごさが本格的に理解されるのは引退後しばらくたってからかもしれないと話した。

 決勝ではジョコビッチが4-6、6-3、6-3の逆転でマスターズ1000(ATP Masters 1000)単独最多となる37回目の優勝を飾った。また前日の準決勝勝利で、歴代単独最多となる7度目の年間1位を確定させており、これによりわずかに残っていたメドベージェフの1位奪取の可能性も消えた。

 ジョコビッチはメドベージェフに敗れ、年間グランドスラムの夢を絶たれた9月の全米オープン(US Open Tennis Championships 2021)決勝では、観客からの愛情を感じたと話したが、そうした雰囲気はどこの会場にもあるわけではなく、今年のウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2021)決勝では、対戦相手のマッテオ・ベレッティーニ(Matteo Berrettini、イタリア)寄りな観客にいら立つ様子も何度か見せた。

 またジョコビッチは以前から、ロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)、ラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)を合わせたいわゆる3強の中でも変わり者とみられていて、フェデラーとナダルが誰からも愛されるタイプなのに対し、激情型で哲学的なジョコビッチはファンの反感を買うこともある。

 しかし、ジョコビッチを「友人」と呼ぶメドベージェフは、ジョコビッチもいずれ実績に見合った評価を得られるはずだと信じている。

「彼のテニス界での実績をリスペクトする人が、どんどん増え始めている感覚がある」というメドベージェフは「それは彼が記録を破り続けているからだろう」と見解を示し、「彼を毛嫌いしている人たち、そういう本物のファンではない人たち以外は、彼が達成してきたこと、そしてこれから成し遂げそうなことに注目し始めている」と語った。

 しかしメドベージェフは、ジョコビッチの偉大さがすぐに広く理解されるのは難しいとも話している。

「もしかしたら、彼の引退から10年かかるかもしれない。これからテニスを見るようになって、ジョコビッチのプレーは見たことがないという人も出てくるからだ」

「僕も同じで、(ピート・)サンプラス(Pete Sampras)のプレーは見たことがない。まだ小さかったからね。だけどどれだけすごかったかは聞いている。それと同じことだ」 (c)AFP/Pirate IRWIN