NASA、小惑星の軌道変える宇宙船打ち上げへ 衝突から地球守る実験
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■「軽く突く」
DART宇宙船を製造した米ジョンズ・ホプキンス大学(Johns Hopkins University)応用物理学研究所(Applied Physics Laboratory)のナンシー・シャボー(Nancy Chabot)氏によると、ディモルフォスはディディモスの周りを「時計のように」11時間55分で1周する。
衝突時の重量が約550キロのDART宇宙船は、ディモルフォスを「破壊する」わけではないという。
「ディモルフォスを軽く突くだけです」と、シャボー氏は説明する。「それによって、ディディモスを周回するディモルフォスの軌道を変えるのです」
公転周期の変化は1パーセントほどで、「11時間55分だったのが、11時間45分くらいになるかもしれません」と付け加えた。
今回の実験の目的は、いつか小惑星が地球に向かってきた場合に、軌道をそらすのにどのくらいの力が必要かを科学的に解明する助けになることだ。
軌道がどの程度それるかは、ディモルフォスの組成によってある程度決まる。ディモルフォスがどのくらい多孔質であるかは、まだ完全には明らかになっていない。
シャボー氏によると、ディモルフォスは宇宙空間で最も多く見られるタイプの小惑星で、約45億年前に形成された。岩石と金属の細かい粒子が混ざり合っているという。
NASAのジョンソン氏は、これまでに2万7000個以上の地球近傍小惑星がカタログ化されているが、現在のところ地球に脅威を及ぼすものは一つもないとしている。(c)AFP/Chris Lefkow