【11月5日 Xinhua News】中国の北京理工大学(Beijing Institute of Technology)内にある実験室では、さまざまなハイテク装置が並ぶ中、2人の研究員が被験者の上腕筋の皮膚に電極パッドを貼り付けている。筋電装置を装着してから被験者が腕を振ると、収集した電気信号の波形が隣のモニターにリアルタイムで表示された。

 同大学宇航学院の霍波(Huo Bo)教授は「この筋電装置は北京冬季五輪に出場する選手のトレーニングに使われる。電極パッドを選手の体のさまざまな部位に貼り付けることで、運動中の筋肉がどんな順序でどれくらい動いたかが測定できる。その情報に基づいて筋力を計算し、データをフィジカルトレーナーにフィードバックすることで、鍛えたい部分の筋肉についてピンポイントで指導できる」と説明した。

 同大学は、2022年の北京冬季五輪に向け、科学技術部が掲げる「科学技術冬季五輪」特別プロジェクトの「国家科学化訓練基地建設のコア技術研究・モデル」計画を担っている。霍氏は責任者として研究チームを率い、「冬季五輪スマートトレーニング管理システム」を開発。スキージャンプやフリースタイル、リュージュ、クロスカントリーなど、冬季五輪種目の中国代表選手に対し、それぞれに合わせて個別化、スマート化した筋肉トレーニング方法を提供している。

 霍氏によると、このシステムは筋電装置に加え、トレーニング場所に複数のハイスピードカメラを設置し、各種目の実戦トレーニングで選手の3次元姿勢のパラメーターが収集できる。圧力センサーを100個近く内蔵した超薄型圧力インソールにより、選手が着地した際の床反力(地面反力)などの情報も収集できる。ディープラーニング(深層学習)による自動認識を完了すると、研究チームは空気動力学分析や筋骨格モデルを用いた動力学分析、運動学分析などの方法を組み合わせ、選手の運動能力を分析・評価する。

 霍氏は「これらの装置やコア技術は成熟しており、業界最先端の水準にある」と説明。冬季五輪向けのトレーニングを支援した後は、リハビリテーションや健康増進、科学研究などの場で活用されると語った。(c)Xinhua News/AFPBB News