【11月15日 AFP】ポーランドとベラルーシの国境沿いに広がるビャウォビエジャ(Bialowieza)の森は、欧州に現存する最大規模の原生林だ。生物多様性の宝庫であり、二酸化炭素の巨大な吸収源でもある。

 この森をめぐり、保護を訴える環境保護活動家、伐採を進めたい政府森林当局、そして森で暮らす地元住民が三つどもえの形で互いに反発している。

 森の玄関口であるビャウォビエジャ村に置かれたワルシャワ大学(University of Warsaw)科学部門のディレクター、ボグダン・ヤロシェビチ(Bogdan Jaroszewicz)氏は、この地域は約1万2000年前からずっと森だったと言う。「ビャウォビエジャの森は、人が介入することなく進化してきた生態系を見ることができる巨大な屋外研究施設です」

 広さ1500平方キロの森の42%はポーランド側に広がっている。その3分の1は国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産(World Heritage)に登録された区域を含む保護区となっているが、それ以外は国の森林当局の管理下にあり、伐採の対象となっている。

 森には、約1万2000種の生物(主に無脊椎動物)と約1000種の植物が生息・生育している。外周6メートル、高さ40メートルほどのブナ科の木の他、50メートルに達するマツ科の木もある。これは12階建ての建物とほぼ同じ高さだ。

 森林当局は2016年、害虫の拡散を防ぐ目的で大規模な伐採プロジェクトを開始し、環境保護活動家と欧州連合(EU)が激しく反発。欧州司法裁判所(ECJ)はポーランドが環境法に違反しているとの判断を下し、政府は2018年に伐採を中止した。

■森林の利用

 他方で、地域共同体のハイヌフカ(Hajnowka)に暮らす多くの人々は、森の保護範囲拡大に反対している。

 約3000人が暮らすこのコミュニティーの首長は「対象範囲が広がると、キノコ狩りやベリー摘みができなくなる。暖をとるためのまきも確保できなくなる」と反対の理由を述べた。(c)AFP/Bernard OSSER