【11月5日 CGTN Japanese】このほど、中国各地で感染症のリバウンドと感染者が確認されました。国家衛生健康委員会のハイレベル専門家グループのグループ長を務める中国工程院の鍾南山(Zhong Nanshan)院士(呼吸器疾患専門家)は中国国際テレビ(CGTN)のキャスター劉欣(Liu Xin)氏のインタビューを受け、「中国の力強い監督・管理と予防・抑制の下で、感染症は1カ月以内に効果的に抑制できる。今の状況では、中国が『ゼロ拡散』政策を取ることは感染後に治療を行うより低コストのやり方だ」と述べました。 

 鍾院士は、「中国が世界に向けて開放されて以後、いわゆる小規模なクラスター的な感染症が発生することは避けられない。だが、1カ月以内で抑制できると考える訳は、やはり中国の非常に強力な監督・管理と感染症の予防・抑制、そして中国独自の世界的経験があるためだ」と分析しました。

 これらの経験とは、鍾院士はまず、ゼロ号患者がどこから感染したのかを見つけ、それから感染ルートを確定し、また感染ルートから濃厚接触者を見つけて、ターゲットを絞ってスクリーニング検査を行い、次に狭い地域で全員の検査と即時の隔離を行うことなどと集約しています。

 広州市(Guangzhou、中国南部)では30日前後、南京市(Nanjing、中国東南部)でも24〜26日間で抑制できたのは、いずれもこうした措置が成功したからで、これらの事実に基づいて北西部、あるいは北東部の黒竜江省で発生した感染症も1カ月で効果的に抑制できると鍾院士は自信を持っています。 

 中国が取ったこうしたゼロ感染政策は一部の国の論者、さらには中国国内の一部からもコストが高くつきすぎるとされています。これについて、鍾院士は、「ゼロ・トレランス方式あるいはゼロ拡散はやむを得ない手段だ。ワクチンががあっても、全世界の死亡率は2%前後であり、こんなに高い死亡率は受け入れられないため、ゼロ拡散の政策を取った。確かにコストは高くつく。しかし、一部の国では現在まだ多少の感染があっても制限を緩和し、感染が拡大したら再び制限を強めるところもあるが、こうした行ったり来たりのやり方はさらにコストが高くつき、市民や社会に対する心理面の影響はもっと大きい」と分析しました。

 また、鍾院士は、「中国は絶対的なゼロ拡散というよりは、段階を踏んで制限を緩和し、ゼロ感染とゼロ拡散を持続させる政策を取っている。感染症をごく狭い範囲に押さえ込もうとすることだ。この政策はかなり長期間に及ぶが、いつまで続くかは、世界各地の予防・抑制活動による。なぜなら、中国がいくら予防策を徹底させても、海外からの渡航がある限り、感染症が輸入されれば感染は避けられない。現在の状況から判断すれば、ゼロ拡散戦略は決してコストが高すぎる訳ではなく、むしろ低コストの方法だ」との考えを示しました。

 鍾南山氏は、呼吸器内科医師、医学者、衛生学者で、現在国家衛生健康委員会ハイレベル専門家グループ長を務めています。専門は疫学、呼吸器学、臨床医学。2002年から2003年にかけての重症急性呼吸器症候群(SARS)の感染拡大時に、感染の中心地となった広東省で広州市呼吸器疾病研究所の所長を務め、SARSという病名を提案したことで世界的に知られています。2020年初めに中国の対新型コロナ戦略の策定に寄与したことで、8月に共和国勲章を授与されました。(c)CGTN Japanese/AFPBB News