■「笑いたければマスクを」

 コメディアンのキリル・シエトロフ(Kirill Sietlov)さんは、1年前に独立系メディアと検閲なしに公に話せる場所が「一掃」されてから、スタンダップコメディーの人気が高まっていると語った。このため、治安機関の標的にもなっているという。

 テレビでは政治に対する風刺や悪口はほぼ放映されない。一方、モスクワのバーではコメディアンが自由に冗談を飛ばしている。

「ここは自分が言いたいことを言える数少ない場所の一つだ」とシエトロフさんは話した。

 AFPの取材に応じたコメディアンたちは、当局の圧力は続くが、スタンダップコメディー自体が禁止されることはないだろうと口をそろえる。

「当局は市民がデモではなく、どこか他の場所でストレスを解消してほしいと思っている」とデディシェフさんは指摘する。

 舞台でデディシェフさんは、マスクを着用していない乗客の誰に罰金を科そうか考えているモスクワの地下鉄の警官に扮(ふん)している。デディシェフさん演じる警官は笑みを浮かべていた数少ない乗客を選ぶことにした。

「この国で笑いたければマスクをしろ!」 (c)AFP/Ola CICHOWLAS