【11月3日 AFP】アフガニスタン北部サマンガン(Samangan)州でこのほど、馬に乗り子牛を奪い合う国技「ブズカシ(buzkashi)」の試合が行われた。出場したハジ・モハマド・パフラワン(Haji Mohammad Pahlawan)選手は、ゴールエリアに投げ込んだ子牛から馬を遠ざけながら、手に持ったムチを高くつき上げ、集まった観客約3000人を前に勝利を宣言した。

 ブズカシは、中央アジアで何世紀にもわたり続いてきた競技で、ペルシャ語の「ヤギ(buz)」と「引きずる(kashi)」を合わせた名前を持つ。出場する選手は「チャパンダザン」と呼ばれ、英雄視される。

 イスラム主義組織タリバン(Taliban)がアフガンを統治していた1996~2001年には、ブズカシは「不道徳」との理由で禁止されていた。そして今年8月、タリバンが政権を掌握したことで、再び禁止されるとの不安が広がっていた。

 だが、金曜の礼拝の後に開かれたこの日の試合では、タリバン戦闘員が観客として競技場を訪れただけでなく、選手として出場する地元の司令官の姿もあった。さらに、モハマド選手のクラブを率いたのは、同地区の首長本人だ。

 試合では、頭を切り落とされ、臓物を取り除かれたヤギまたは子牛の死骸が使われる。これをそれぞれのチームが奪い合い、ゴールとなる円の中に投げて得点を競うのだ。

 今では、ブズカシで多額の賞金が出ることはなくなったが、チャパンダザンにとって、勝利が名誉であることに変わりはない。(c)AFP/James EDGAR