【11月4日 Xinhua News】中国科学技術大学は、同校の潘建偉(Pan Jianwei)、朱暁波(Zhu Xiaobo)、彭承志(Peng Chengzhi)各氏らによる研究チームがこのほど、中国科学院上海技術物理研究所と協力し、プログラム可能な66ビット超伝導量子コンピューターのプロトタイプ「祖沖之(そ・ちゅうし)2号」の構築に成功したと明らかにした。「ランダム量子回路サンプリング」の計算速度は、現在の世界最速のスーパーコンピューターの1千万倍以上だという。中国は現時点で、二つの技術ルートにより「量子超越性」を達成した世界で唯一の国となった。

 量子コンピューティングは、次世代情報革命の鍵となる技術とされる。量子超越性とは一つのハードルのようなもので、特定の問題において、新たに生まれた量子コンピューターのプロトタイプの計算能力が最も優れた古典コンピューターを上回った場合、将来的に多方面で超越する可能性を証明する。

 世界の学術界は現在、複数の技術ルートで量子コンピューターを研究しており、超伝導量子ビットは最も有望な方向性の一つとされる。潘、朱、彭各氏らは今年5月、62ビット量子コンピューターのプロトタイプ「祖冲之号」を開発し、プログラム可能な二次元量子ウォークを実現した。

 米国は2019年、中国は20年にそれぞれ量子コンピューターのプロトタイプ「Sycamore(シカモア)」と「九章」を発表し、量子超越性を達成した。このうち「九章」は光学的量子技術を使用している。「祖沖之2号」の成功により、中国は二つの技術ルートで「量子超越性」を達成した唯一の国となった。

 朱氏は「量子超越性の達成は、われわれの研究が第2段階に入ったことを示している。量子誤り訂正と応用の模索が始まる」と述べ、「祖冲之2号」が持つ並列高忠実度量子ゲート操作と完全なプログラム能力は、量子機械学習や量子化学など実用的価値のある応用を見つけ出す可能性があると説明した。

 研究成果は10月25日、中国の科学学術誌「科学通報」と米物理学会誌「フィジカル・レビュー・レターズ」に掲載された。(c)Xinhua News/AFPBB News