■培養コーヒーの味は?

 コーヒー好きにとって、培養コーヒーの成否の決め手は味にある。

「従来のコーヒーに比べると、細胞から培養したコーヒーの方が苦味は少ないですね」。官能検査の専門家で、このプロジェクトの味覚検査のチームを率いているヘイキ・アイサラ(Heikki Aisala)氏はAFPに語った。カフェイン含有量がわずかに低いためとみられ、フルーティーさも控えめだと付け加えた。

「そうは言っても、私たちはコーヒー焙煎のプロではありませんので」とリッシャー氏は話し、さまざまな風味が実際に生まれるのは焙煎の工程だと説明した。

 持続可能性が高いコーヒーの代替品を追求する取り組みは、他でも進められている。

 米シアトル(Seattle)のスタートアップ企業、アトモ(Atomo)は9月、自社で開発した「分子コーヒー(molecular coffee)」に関して1150万ドル(約13億円)の資金を調達したと発表。コーヒーノキ以外の有機物を原料とし、分子レベルでコーヒーと同じ風味を調合したとしている。

 米国とカナダでの世論調査によると、培養された代替食物を警戒する見方は根強い。ただ、若い消費者の間ではそれほどでもないという。

 リッシャー氏は、自分たちが開発した培養コーヒーが規制当局に承認され、商業的なサポートを得て、従来のコーヒーと一緒に店頭に並べられるまでには最低4年はかかるとみている。

 コーヒー消費大国のフィンランドで、このプロジェクトは「熱い注目を浴びています」とアイサラ氏は話した。(c)AFP/Sam KINGSLEY