【11月5日 People’s Daily】中国の習近平(Xi Jinping)国家主席は10月12日、雲南省(Yunnan)昆明市(Kunming)で開かれた国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)の首脳サミットで、中国が新たに導入した国家公園制度の第1弾として、三江源国家公園、ジャイアントパンダ国家公園、東北虎(アムールトラ)・東北ヒョウ国家公園、海南熱帯雨林国家公園、武夷山国家公園の5か所を指定したと公表した。

 中国国家林業・草原局の担当者は「第1陣の国家公園は青海省(Qinghai)、チベット自治区(Tibet Autonomous Region)、四川省(Sichuan)、陝西省(Shaanxi)、甘粛省(Gansu)、吉林省(Jilin)、黒竜江省(Heilongjiang)、海南省(Hainan)、福建省(Fujian)、江西省(Jiangxi)の10省・自治区に及ぶ。保護面積は23万平方キロに及び、陸地の国家重点保護野生動植物類の30%近くをカバーしている」と説明した。

 中国西部の青海チベット高原の奥深くに位置する三江源国家公園は、面積は19万700平方キロと広大だ。長江(揚子江)、黄河、瀾滄江(下流はメコン川)の源流の生態系を保護している。氷河や雪山、湿地、砂漠、草原など自然の形態は豊富で、地球の第三極(北極、南極に次ぐ極地)といわれる青海チベット高原の生態系を大規模に保全している。

 中西部の四川省、陝西省、甘粛省にまたがるジャイアントパンダ国家公園は面積2万2000平方キロ。野生のパンダが集中して生息する地域で、野生パンダの70%以上を保護している。公園エリアは生物多様性に富み、独特の自然と景観を有しており、生物多様性保全の実証地域であり、生態系教育のモデルとなっている。

 東北部の吉林省、黒竜江省にまたがる東北虎・東北ヒョウ国家公園は面積1万4100平方キロ。中国で最大かつ唯一、家族を形成している東北虎と東北ヒョウの個体群が生息している。多様な植生と温帯森林の生態系が維持されている。

 南部の海南島の中央に位置する海南熱帯雨林国家公園は面積4269平方キロ。中国で最も完全な形で熱帯雨林が残っている。世界で最も絶滅の危機にある霊長類の海南テナガザルが唯一生息しており、熱帯の生物多様性と遺伝資源の宝庫となっている。

 東部の福建省と江西省にまたがる武夷山国家公園は面積1280平方キロ。同緯度の亜熱帯で常緑広葉樹林の生態系が世界で最も完全かつ最大な形で現存し、動植物の宝庫となっている。武夷山は自然と文化の世界複合遺産に指定されており、人と自然が長年にわたり共生ししているモデルとなっている。

 国家林業・草原局の担当者は「国家公園を建設する目的は、重要な自然の生態系や特色ある景観、豊かな生物多様性を保護するという世界的価値観と国家・国民の意志を反映し、貴重な自然を後世に残すことにある」と述べている。(c)People’s Daily/AFPBB News