【11月1日 AFP】ベネズエラの貧困にあえぐ漁村、オロガ(Ologa)にある唯一の学校。暗く埃(ほこり)っぽい部屋には机が積み重ねられている。

 西部スリア(Zulia)州、マラカイボ湖(Lake Maracaibo)のほとりに立つこの学校で、最後に授業があったのは4年前。今では壁のペンキが剥げ落ちている。

 ベネズエラ政府は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)で1年間閉鎖されていた各地の学校を再開すると発表したが、オロガの学校は今も閉じている。

「8人(成人した)子どもがいるが、読み書きできるのは1人だけ。みんな無学だ」と漁師のアンヘル・ビジャスミル(Angel Villasmil)さん(58)はAFPに語った。

 国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)によれば、ベネズエラの識字率は97%を超えている。しかし、40世帯が暮らすオロガ村は世間から隔絶されている。

 8年におよぶ経済危機と、うち4年にわたって続いているハイパーインフレで、ベネズエラの基幹産業である石油生産は大打撃を受けている。石油資源が豊富なスリア州でも燃料不足で公共サービスが崩壊し、オロガのような村々が衰退している。

「子どもたちは学校へ行かない。閉まっているから」。この日釣れた魚を並べながら、ビジャスミルさんは語った。20人いるという孫のうちの何人かが、湖岸に打ちあがった油まみれのプラスチックごみで遊んでいた。

 ビジャスミルさんの幼かった頃は学校は開いていたが、やはり勉強しなかった。今は売り物にするか、家族に食べさせる魚を取るため、湖に舟を繰り出す毎日だ。