【11月2日 AFP】イスラム主義組織タリバン(Taliban)が実権を握るアフガニスタンの国際社会への受け入れに動く各国当局や支援団体が、タリバン側との協議に男性だけを派遣し、女性を排除していることに批判が出ている。

 タリバンは8月の実権掌握以降、暫定政権から女性を排除、女性の労働や教育を制限しており、国際社会から批判されている。

 各国政府や支援団体の代表団は、国際社会からの承認を希望するタリバン側と首都カブールで協議しているが、その席に女性の姿はほとんど見られない。

■「ソーセージパーティー」

 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights Watch)のヘザー・バー(Heather Barr)氏は、ハッシュタグ「sausageparty(ソーセージパーティー、男性だけの集まり)」を付けて、タリバンが投稿した代表団との協議の際に撮られた一連の写真を掲載した。

 バー氏はAFPに対し、「各国、特に支援団体は模範とならなければならない」と語った。「男性だけの集まりが普通のことだとタリバンに思わせるべきではない」

 タリバンは外国の代表団との非公開協議の際の写真をソーシャルメディアに多数投稿しているが、女性は一人も写っていない。

 英国のサイモン・ガス(Simon Gass)首相特使らは10月、タリバン暫定政権のアブドル・ガニ・バラダル(Abdul Ghani Baradar)副首相、アブドル・サラム・ハナフィ(Abdul Salam Hanafi)氏と会談したが、会談場所の豪華な部屋に女性の姿はなかった。

 当局者はAFPに対し、英国側の出席者がいずれも男性だったのは偶然だと説明した。

 パキスタンも、国際社会から支持が得られるようタリバンに助言しているが、外相と情報機関トップがカブールを訪問した際の写真や動画で確認できるのは男性だけだった。

 カタールの首都ドーハで昨年行われたアフガン政府とタリバンとの和平交渉に参加したフォージア・クーフィ(Fawzia Koofi)氏は「各国指導者は女性の権利について語るのなら行動を伴わなければならない。単なる政治的発言ではなく、信念であることを示さなければならない」と訴えた。

 赤十字国際委員会(ICRC)や国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)、国境なき医師団(MSF)とタリバン側との会談の写真も公になっているが、いずれも代表団は少人数で、偶然全員が男性だったとしている。

 国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)は、代表団の女性メンバーが会談直前に参加できなくなったため、男性だけになってしまったと説明した。

 アフガンは極端な例かもしれない。だが、女性が男性と同席できないのはアフガンに限らない。

 バー氏は「男性しかいない場で女性の権利をめぐる問題について懸念を提起するのは極めて奇妙だ」と述べた。

 こうした批判を受け、国連(UN)は、全員女性から成る初の代表団をアフガンに派遣し、タリバン側と女性の教育問題について議論する計画を発表している。(c)AFP/Nina LARSON