【10月30日 AFP】イタリア・ローマで30日、20か国・地域(G20)首脳会議が開幕した。2日間にわたる会議では、気候変動や新型コロナウイルス禍からの経済復興が最大の議題となる。昨年の首脳会議は感染拡大によりオンライン開催となったため、対面開催は2年ぶり。

 今回の会議は、英北部グラスゴーで31日に開幕する国連(UN)気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)を前に開かれ、地球温暖化対策で前進できるかが焦点となっている。

 国連のアントニオ・グテレス(Antonio Guterres)事務総長は29日、気候変動対策の目標達成のためにG20首脳が「より大きな野心と行動」を示すべきだと訴えるとともに、相互不信の解消を呼び掛けた。

 首脳会議にはロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領と中国の習近平(Xi Jinping)国家主席は対面出席せず、オンライン形式で参加する予定。

 会議の議題を複雑にしているのは、温暖化対策に対する各首脳の考え方の隔たりだ。

 世界最大の温室効果ガス排出国である中国は、石炭火力発電所の新設を中止するよう求める声を無視していると非難されている。

 中国はCOP26を前に、2060年までに炭素排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を達成する計画を国連に示したが、環境活動家らの期待には及ばない内容となった。

 一方、ブラジルのジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)大統領は、アマゾン(Amazon)熱帯雨林の保護に取り組んだとして、自国が対価を得られるべきだとかたくなに主張している。世界最大の熱帯雨林であるアマゾンは、化石燃料の燃焼に伴って排出される温室効果ガスを吸収することから、気候変動対策において必要不可欠な資源だと考えられている。

 今回の会議では新型コロナウイルスワクチンに関する宣言などは予定されていないが、G20財務相・保健相合同会議は29日に共同声明を発表し、「開発途上国におけるワクチンや必要不可欠な医療製品の原材料の供給を後押し」し、「供給や資金調達の制約を取り除くための措置を取る」とした。(c)AFP/Alexandria Sage and Sophie Estienne