【10月30日 AFP】ポーランド議会は29日、同国東部の対ベラルーシ国境に壁を建設する法案を可決した。中東などからの移民流入が前代未聞の規模に拡大している状況への対処が目的。

 壁は、ポーランドが加盟する欧州連合(EU)の東側境界ともなっている国境に100キロ以上にわたり設置される計画で、推定費用は3億5300万ユーロ(約465億円)。アンジェイ・ドゥダ(Andrzej Duda)大統領は、近日中の法案署名を約束した。

 国境地域では8月以降、主に中東・アフリカ地域出身の移民・難民が大量に押し寄せ、ベラルーシからポーランドへの越境を試みている。EUは、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ(Alexander Lukashenko)政権が国内で進める反体制派締め付けをめぐり同政権に制裁を科しており、ベラルーシが報復として意図的に移民をポーランドに送り込んでいると非難している。

 ポーランドはベラルーシ国境に非常事態を宣言し、大規模な軍部隊を派遣。有刺鉄線の柵を急きょ設置した。国境では警備隊が移民や難民を押し返すなどの強硬措置が取られ、ポーランド政府に対する批判が噴出。NGOは、現地の状況は危険性を増していると警告している。

 ポーランドを含むEU加盟12か国は、移民の入国を阻止するための国境の「障壁」建設費負担をEUに要請。だが欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン(Ursula von der Leyen)委員長は先週、拒否していた。(c)AFP