【10月29日 AFP】南米ボリビアの人権オンブズマン事務所は28日、義理の祖父にレイプされ妊娠した11歳の少女について、本人の希望があれば人工妊娠中絶を受けられるよう支援すると表明した。同事務所によると、カトリック教会が少女の中絶に異議を唱えているという。

 オンブズマン事務所の声明によると、少女は妊娠21週目で、当初は中絶を希望する意思を示していたが、教会や医療従事者、現地当局から、処置を受けることを阻止されている。

 同事務所は、「家族やあらゆる機関、組織、宗教団体」からの干渉を排して「合法的な妊娠中絶のための手続きを再開する」としている。

 カトリック教会は今週、少女を保護施設に移したと明かし、教会の反中絶の立場を強調した。

 サンタクルス(Santa Cruz)大司教区は、「子宮の中の人に、母親が受けた虐待の責めを負わせるべきではない。一つの犯罪は、別の犯罪では解決されない」と主張した。

 国連(UN)ボリビア事務所は現地当局に対し、「包括的かつ適時に適用されなければならない」少女の保護に関する国際的ガイドラインを参照するよう要請。被害少女は妊娠によって「自身の生命や健康、人生設計だけでなく、精神・情緒面での健康」も脅かされることになると指摘した。

 加害者の裁判は、まだ始まっていない。

 ボリビアの憲法裁判所は2014年、レイプや近親相姦(そうかん)による妊娠や、母体に危険が及ぶ場合には人工妊娠中絶を認めるとする判断を出している。

 極めて保守的でカトリック教徒が多い中南米で、中絶が合法とされる国はウルグアイ、キューバ、アルゼンチン、ガイアナのみ。メキシコでは、32州のうちメキシコ市と他4州でしか認められていない。

 エルサルバドル、ホンジュラス、ニカラグア、ドミニカ共和国、ハイチでは中絶は禁止されており、他の大半の国でも、医療上の理由かレイプによる妊娠の場合に限り認められる。(c)AFP