中国初の太陽探査科学技術試験衛星の打ち上げに成功
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【10月30日 People’s Daily】中国は14日、太原衛星発射センターにて「長征2号丁」キャリアロケット(CZ-2D)を使い、初の太陽探査科学技術試験衛星「羲和号(Xihe)」の打ち上げに成功した。同衛星は国際初の太陽Hα線光スペクトラムイメージング(SI)による宇宙探査を実現し、太陽爆発源エリアの質の高い観測データの空白を埋める見込みだ。
今回打ち上げられた「羲和号」衛星は太陽Hα線光スペクトル探査とダブル超プラットフォーム科学技術試験衛星と呼ばれ、主要科学ペイロードは太陽宇宙望遠鏡。「羲和号」の総重量は508キロ、設計寿命が3年だ。高度517キロメートル、傾斜角98度の太陽同期軌道を周回し、同軌道は地球の南極と北極を通過し、24時間連続して太陽を観測できる。
「太陽活動を探査・研究し、地球への悪影響を低減・回避するための対策を提案する。中国は宇宙大国として、太陽探査活動を適時に行う必要がある」。国家航天局地球観測・データセンターの趙堅(Zhao Jian)主任によると、中国はすでに2つの太陽探査計画を策定しており、それぞれ「羲和」と「夸父(Kuafu)」という探査計画で、これらは太陽探査の中国案と中国からの貢献だ。羲和は中国の古代神話の中の太陽の女神で、時間と暦法を主管し、太陽の母のイメージで人々に知られている。「羲和号」は中国の太陽探査のアイスブレークの旅を実現した。「夸父」探査計画は先進的宇宙太陽天文台(ASO-S)を開発・打ち上げを行い、太陽の科学観測を行うもので、中国科学院先導計画に組み入れられ、来年に打ち上げられる予定だ。
「『羲和号』の打ち上げ成功は、中国が太陽探査の無から有への突破の実現を意味し、正式に『太陽探査の時代』に入ったことを示している」。趙氏は、「羲和号」は世界初の太陽Hα線光SIによる宇宙探査を実現する。天文スペクトル速度測定ナビゲーションという新しい方法・技術などの新たな導入は、重要な意義を持っていると述べた。
現在、国際的に太陽探査はホットスポットとなっており、中国は太陽観測関連の論文発表数は世界2位だが、使用されているデータはいずれも海外の衛星データだ。趙氏は、「『羲和号』の打ち上げ成功は、このような受動的な局面を打破し、中国は衛星データ科学委員会を設立し、国内外の科学者が衛星探査データを研究、使用、共有するためのデータ政策を制定し、オリジナリティのある科学成果を生み出し、人類の科学事業への中国の貢献を果たす」と述べた。
「羲和号」衛星の革新的な意義は太陽探査の面に限らない。国際初の「ダブル超」新技術衛星プラットフォームを採用し、軌道上でのペイロードの超高精度指向・超高安定度制御を実現した。これは現在の同等の慣性量の衛星プラットフォームよりも2段階向上したもので、業界では「ダブル超」プラットフォームと呼ばれ、中国の高精度衛星プラットフォーム技術の飛躍的な発展を推進していくだろう。
趙氏は、「羲和号」の高性能技術衛星プラットフォームは軌道上での試験の成功の後、中国の宇宙観測技術レベルを大幅に向上させる。将来的には、「ダブル超」プラットフォーム技術は、高解像度での精密な地球調査、大型スケールの立体測量、太陽の立体探査、系外惑星の発見などの次世代宇宙ミッションにおいても応用が広がる見通しだと説明した。(c)People’s Daily/AFPBB News