【10月27日 AFP】オランダ・アムステルダムの控訴裁判所は26日、ロシアによる2014年のウクライナ・クリミア(Crimea)半島併合前にオランダの博物館へ貸し出されていた金製品コレクションについて、ウクライナ側への引き渡しを命じた。

 引き渡しが命じられたのは、クリミア半島の博物館からアムステルダムのアラード・ピアソン博物館(Allard Pierson Museum)に貸し出された「スキタイの黄金(Scythian Gold)」と呼ばれる財宝コレクション。同半島にある四つの博物館が7年前に返却を求めて集団訴訟を起こしていた。

 クリミアは主権国家ではないためウクライナ政府に返却されるべきだとする2016年の一審の判断を支持した。

 控訴裁判所は、「クリミア半島が安定するまで」ウクライナが財宝を保有すべきだと指摘。「クリミア半島に由来するもので、クリミアの遺産の一部だと考えられるものの、1991年から独立国家として存在するウクライナの文化遺産の一部だ」としている。

 現時点では原告側が最高裁に上告するかは不明。

 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は、「待ちわびた勝利」で「公正な判決」だと歓迎した。

 一方、博物館の代理を務める弁護士は、「極めて遺憾だ」と述べた。

 ロシア文化省は、返却を求めた博物館側を支持しているとした上で、財宝コレクションはクリミア半島で発見されたものであり、もともと展示していた博物館の「所有物だ」としている。

 ロシアのウラジーミル・ドゥジャバロフ(Vladimir Dzhabarov)、アンドレイ・クリシャス(Andrey Klishas)両上院議員は地元メディアに対し、「偏った判断」で、ロシアはこの件を「うやむやにしない」と述べた。

 コレクションは紀元前2世紀から中世後期のもの。クリミア半島は当時、スキタイ人が支配する地域に抜ける貿易路の交差点となっていた。(c)AFP/Julie CAPELLE and Jan HENNOP in The Hague