【10月27日 AFP】台湾の呉釗燮(Joseph Wu)外交部長(外相)は26日、中国との衝突が起きれば「台湾だけでなく中国や世界の他の国々にとっても大惨事となる」と警告した。

 東欧スロバキアを訪問中の呉氏は、国際問題シンクタンク「グローブセク(Globsec)」の会議での講演後にAFPの取材に応じ、中国は自国経済の減速や電力不足から「国民の関心をそらす」ために、台湾との緊張を高めているのではないかとの見解を示した。

 中国軍機による台湾の防空識別圏(ADIZ)への相次ぐ進入を受け、中台関係は緊張が高まっている。

 呉氏は「専制政権は昔から、国内に危機があると外部に危機をつくり出して国民の関心をそらそうとするものだ」とした上で、「中国の最近の国内情勢を見るに、経済は減速し、欧米の対中制裁で大打撃を受けているようだ。ここ数か月は深刻な電力不足にも陥っている」と指摘した。

 さらに「こうした状況下では、専制的な指導者が対外行動を起こして国民の関心をそらすことを考える環境が生じる可能性がある」として、「脅威は実在し、ますます大きくなっている」と警告した。

 呉氏は講演で「民主主義国によるサプライチェーン」の一環として経済関係の強化を訴え、特にスロバキア経済の屋台骨を支える自動車産業を台湾が支援する可能性に言及した。

「民主主義と自由という価値観を共有し、信頼できる供給国を持つことは、われわれの経済を活性化する。専制主義国が民主主義国に対し、貿易を武器に強制力を行使している状況下では特に重要だ」と述べた。(c)AFP