【11月7日 AFP】ウガンダで新型コロナウイルスの感染が急拡大し学校が閉鎖されると、数学教師のリビングストン・ムサーラ(Livingstone Musaala)さん(28)は職を失った。そこで生活費を稼ぐことができ、地域にも貢献できるひつぎ職人に転職した。

 当初、ムサーラさんの転職を歓迎する人はほとんどいなかった。首都カンパラの東140キロに位置する人口集中地区ブゴビ(Bugobi)に暮らすムサーラさんは、コロナ禍によるひつぎブームを利用していると、家族から非難された。

「たくさん仕事がある中で、なぜひつぎ職人なのか。人の死を望んでいるようだ」と、親戚の一人に問い詰められた。

 しかし、新型コロナによる死者が増え、ひつぎの需要も急増。他の職人は法外な値段で販売しているが、それよりかなり価格を抑えられることに気付いた。

 ブゴビの住民は、安価なひつぎを求めて遠くまで行く必要がなくなったとムサーラさんはAFPに語った。

 新型コロナ流行のピーク時は、1基当たり15万~45万ウガンダ・シリング(約4800~1万4000円)のひつぎが毎日4~10基売れ、大繁盛だった。

 ムサーラさんの成功に続けとばかり、30人余りの教師がひつぎ作りに加わった。その多くは学級閉鎖で職を失い、困窮していた。

 ウガンダの崩壊寸前の教育制度にとっては悪い知らせだが、ひつぎ作りに携わる元教師らは、学校が再開しても戻る気はないと口をそろえる。

 ウガンダ政府が2020年3月に学校を閉鎖して以降、約1500万人の子どもが学校に行っていない。人権活動家らは10代の妊娠と児童労働の急増を懸念している。

 閉校し、ホテルやレストランとして再スタートを切っている学校もある。

 ゴッドフリー・ムチャバ(Godfrey Mutyaba)さんはAFPに対し、「教師とひつぎ職人のどちらを選ぶかと言われたら、ひつぎ作りにすると思う。現金が手に入るから」と述べた。

 2人の子どもがいるムチャバさんは「教えるのは好きだったが、安月給の教職には戻らない」と語った。

 ブゴビの私立学校の教師の平均月収は100~250ドル(約1万1000~2万8000円)だ。

 2児の父ムサーラさんも、売り上げが落ちても教師に戻るつもりはない。将来は家具作りをしたいと考えている。

「新型コロナは、教職以外の人生があると教えてくれた」と語った。(c)AFP