【10月27日 AFP】サウジアラビア情報機関の元幹部が24日、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子(Crown Prince Mohammed bin Salman)に暗殺チームを差し向けられたと明らかにした。

 サウジ情報機関の元幹部で欧米諸国との仲介役を務めていたサード・アルジャブリ(Saad Aljabri)氏は米CBSの報道番組「60ミニッツ(60 Minutes)」で、ムハンマド皇太子が2017年に王室の権力を掌握した後、暗殺チームが亡命先のカナダに派遣されたと主張した。

 アルジャブリ氏は、中東の情報機関に勤める友人から反体制派ジャーナリストの故ジャマル・カショギ(Jamal Khashoggi)氏と同じ運命をたどる恐れがあるして、「カナダのサウジ公館には近づくな。総領事館にも大使館にも行ってはいけない。(暗殺の)最重要ターゲットにされている」と警告されたと語った。

 カショギ氏は2018年にトルコ・イスタンブールのサウジ総領事館を訪れた後、サウジ政府とつながりのある集団に殺害されたとみられている。

 アルジャブリ氏によると、暗殺チームは2018年10月にカナダ入りしたが、税関職員に虚偽申告し、不審物を所持していることが発覚して強制送還された。

 AFPはアルジャブリ氏の主張を独自に検証できておらず、カナダ外務省に取材を試みたが回答は得られていない。

 しかしカナダ当局者は60ミニッツに対し「外国の関係者がカナダ在住者を脅迫しようとした案件を把握している」として、「(こうした脅迫は)決して容認できない」と述べた。

 アルジャブリ氏が2019年に提出した訴状によると、暗殺チームは捜査当局に「タイガー部隊(Tiger Squad)」と呼ばれる集団のメンバーで構成されていた。タイガー部隊はムハンマド皇太子が設置した影の暗殺者集団で、「超法規的殺人やレイプ、拷問」を専門としているという。

 ムハンマド皇太子はかつて改革者としてもてはやされていたが、皇太子となってからは反対派を無慈悲に粛清しており、アルジャブリ氏はタイガー部隊が皇太子の専制的な一面を表していると主張している。(c)AFP