【10月26日 AFP】西アフリカのリベリアで、拾った5万ドル(約570万円)を持ち主に返した若者が大統領から「正直大使」に任命され、月給と奨学金を支給されることになった。

 バイクの運転で生計を立てているエマニュエル・トゥロー(Emmanuel Tuloe)さん(19)は、国民の半数近くが極貧状態にあるリベリアで道徳的な行動を取ったとして称賛され、メディアに広く取り上げられている。

 22日にAFPの取材に応じたトゥローさんは、10日に北東部でバイクに乗っていた時に現金約5万ドルが入ったレジ袋をたまたま見つけたと語った。持ち主の女性が捜していることをラジオで知り、お金を返した。

 トゥローさんは「友人たちには、ばかだな、おまえみたいなやつは一生金持ちになれないと言われた」と述べた。

 さらに「両親に人のものを盗む方法は教わらなかったので、(見つけた)お金を返すことにした」と続けた。「私のものではない」

 元サッカー選手のジョージ・ウェア(George Weah)大統領(55)は今週、トゥローさんと面会。正直にお金を届けたことをたたえて1万ドル(約110万円)を提供。さらに、修士課程修了まで奨学金を提供し、「正直大使」に任命して月給500ドル(約5万7000円)を支給すると申し出た。

 トゥローさんは「友人たちが予想したほど貧しい生活を送ることはならないと思う」として、「友人には、人のものは取らない方がいいよと話している」と続けた。トゥローさんの夢は、医師か看護師になることだという。

 世界銀行(World Bank)によると、リベリアでは人口500万人の44%が1日1.9ドル(約220円)以下で生活している。

 映像は18、22日撮影。(c)AFP