【10月26日 AFP】フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)に参戦するメルセデスAMG(Mercedes AMG)のルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)は、今季の総合優勝を簡単には諦めはしないとしながらも、激しいタイトル争いを繰り広げているレッドブル(Red Bull)のマックス・フェルスタッペン(Max Verstappen)と差が、次の2レースでさらに開く可能性があると考えている。

 通算7度の選手権制覇を誇るハミルトンは、24日に行われた第17戦米国GP(United States Grand Prix 2021)決勝で2位に終わり、ドライバーズ選手権では首位のフェルスタッペンを12ポイント差の2位で追いかけている。

 常識からすれば、これは残り5レースで逆転可能なわずかな差であるものの、第18戦メキシコシティGP(Mexico City Grand Prix 2021、11月7日決勝)と第19戦サンパウロGP(Sao Paulo Grand Prix 2021、同14日決勝)が近づく中で、ハミルトンはライバルとの差がさらに開くことを懸念している。

 F1で史上最多記録となる通算8度目の年間優勝を目指しているハミルトンは、「次の二つのサーキットは、レッドブルが非常に得意としているのは間違いないから、厳しいレースになるだろう」と予測し、「きょう(24日)のレースは、こちらに十分な速さがなかった。だけど、前を見据えて一つずつレースをこなしていく」と語った。

「次の2レースのサーキットは、レッドブルが強さを発揮している。だから、とにかく自分たちを上回る相手の強さを最小限に食い止めるように努力し、こちらが良い仕事をする可能性を探っていく」

 一方、24歳のフェルスタッペンは、メキシコシティGPで今季9勝目を挙げるのは当たり前とは考えていない。米国GPが行われたサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(Circuit of The Americas)での優勝は、同選手にとって今回が初めてであり、慎重な姿勢が肝心だと思われる。

 フェルスタッペン本人も「この1勝で自信が増すことはない」とし、「良い仕事ができるとチーム全員が自信を持っているけれど、メキシコでは詳細を突き詰めて最初からやり直し、自分たちの力を最大限に発揮できるようにしていく必要がある」と語った。

 タイトル争いではハミルトンの経験値が高いことが何らかの影響を及ぼす可能性があり、これまでポイントランキングで先頭を走る立場になったことがないフェルスタッペンにとっては、これから重圧にどう向き合っていくかが鍵を握ると思われる。

 それでも、米国GPでハミルトンの猛追を抑え込んだことは、総合争いがクライマックスに近づく中で、フェルスタッペンが重圧にうまく対処できる可能性を示している。

 レッドブルのクリスチャン・ホーナー(Christian Horner)代表は、「今年は2チームによる激しい戦いとなっていて、次の2レースがタフなものにならないと考える理由はない」と警戒した。

 コンストラクターズ選手権で現在レッドブルを23ポイント差で抑え、首位を維持しているメルセデスのトト・ヴォルフ(Toto Wolff)代表も、今季5勝を記録しているハミルトンのタイトル連覇に関して何ら悲観的にはなっていない。

 また、コースに関する定説もまったく気にしておらず、「どのチームがどのサーキットに適しているという説など、私は信じていない」とし、「あまり一喜一憂しないように気をつけつつ、マシンの性能を理解して不足を補っていく必要がある」と強調した。

「『これ(選手権)を制覇できない』と考えたことなど、(今季は)これまで一度もない」 (c)AFP