【10月25日 AFP】国連(UN)の世界気象機関(WMO)は25日、温室効果ガスの大気中濃度が、昨年過去最高を更新したと発表した。今月末に気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)が開幕するのを前に、明確な警告となった。

 WMOの「温室効果ガス年報(Greenhouse Gas Bulletin)」によると、昨年1年間の濃度増加幅は、2011~2020年の年平均を上回った。増加傾向は、今年も続いているという。

 WMOは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)による経済活動の停滞で、排出量は一時的に減少したものの、大気中の温室効果ガスの濃度や増加幅には、目立った影響はなかったとしている。

 また、温室効果ガスの排出が続く限り、世界の気温上昇も続くと指摘。二酸化炭素(CO2)は安定した物質であるため、たとえ排出量が急減し実質ゼロになったとしても、すでに起こった気温上昇は数十年間にわたり変わらないと説明した。

 COP26は、英グラスゴーで今月31日から来月12日まで開催される。

 WMOのペッテリ・ターラス(Petteri Taalas)事務局長は「温室効果ガス年報には、COP26で気候変動について協議する関係者らに対する、科学に基づいた明白なメッセージが含まれている」と述べた。

「現在の温室効果ガス濃度の増加ペースで行けば、産業革命以前から1.5〜2度までに抑えるというパリ協定(Paris Agreement)での目標を大幅に上回る気温上昇が、今世紀中に起こるだろう」と警鐘を鳴らした。(c)AFP/Robin MILLARD