【10月28日 AFP】映画には世界を一つにする力があるといわれるが、米映画芸術科学アカデミー(AMPAS)が今月21日に主催した「学生アカデミー賞(Student Academy Awards)」授賞式でアニメーション部門の銀賞に輝いたのは、英国王位を継いだコーギーがフランスに核戦争を仕掛ける筋立ての作品だった。

 コーギーは、英国のエリザベス女王(Queen Elizabeth II)お気に入りの犬種として知られる。アレクサンダー・トゥロー(Alexander Tullo)氏制作のアニメ『Barking Orders(原題)』は、コーギーが世界征服をたくらむ様子を面白おかしく描いている。

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)を受けて2年連続でオンライン開催された授賞式では、『モンスターズ・インク(Monsters Inc)』や『カールじいさんの空飛ぶ家(Up)』を手掛けたピート・ドクター(Pete Docter)監督がトゥロー氏の銀賞受賞を発表した。

 トゥロー氏は受賞スピーチで、「フランスに核攻撃を仕掛けるというアイデアは、制作プレゼンテーション段階では特に人気があったわけではなかった。幾つか問題点があった」と冗談めかして明かした。

 学生アカデミー賞は、アカデミー賞(Academy Awards)を主催する米ハリウッド(Hollywood)の映画業界団体、映画芸術科学アカデミーによる重要プログラム。過去の受賞者には、ドクター監督の他、スパイク・リー(Spike Lee)監督、「バック・トゥ・ザ・フューチャー(Back To The Future)」シリーズのロバート・ゼメキス(Robert Zemeckis)監督、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(No Time To Die)』のキャリー・フクナガ(Cary Fukunaga)監督らがいる。

 今年の各部門の金賞は、アパルトヘイト(人種隔離政策)時代の南アフリカを描いた『When The Sun Sets(原題)』、韓国人慰安婦がテーマの『Unforgotten(原題)』、米カリフォルニアの養蜂家が直面する環境問題を扱った『When They're Gone(原題)』など、硬派な作品に贈られた。(c)AFP